終わりで始まる進化論~第一部~
「は、何言ってるんだよ?そんな訳ないよ。だって、本当に壊死してるなら、こんな風に立って歩けるわけないし……は、羽柴さんが、きっと見間違えたんだよ。だって……普通ならあり得ないじゃん」
シノミヤに向けられる銃口からなのか、背中に妙な冷気を感じている気がする。
首筋には汗が伝い、別に悲しいとかという感情ではないがナツキ自身泣き笑いの様な表情になっているのがわかった。
だが、いつも眉間に皺を寄せるような険しい表情を作るシノミヤは本当に涼しげな顔をしている。
涼しげな顔のままの表情だからか、余計にナツキには焦りが生まれていた。
「普通ならあり得ねえよ。確かに、所長しか確認してねえんだ。あの人が見間違えたって可能性もある」
「そ、そうだよ。だってほら、まともに歩けてるし……今日だってノアと普通に買い物をしてきたし……」
「ただ、壊死した細胞が再生してるとしたら、お前が人体実験をする意味は無くなる
……侵食事件に巻き込まれたんじゃなく、お前が〈侵食されない身体〉と知っていた可能性だって否定出来ねえ。
おまけに西部と関係があったネイティアの親族……お前が、あの粘液を他の連中に投与する事も場合によっては考えられる。あれは……侵食事件じゃなく、単なる第二形態人種(お前)のテロ行為って可能性も考えられんだよ」