終わりで始まる進化論~第一部~
「ん……っ」
うっすらと光が差して、ナツキは目を覚ます。
いつもの朝……のはずだった。が、違っていた。
目の前には静かな寝息をたてて眠っている人間がいる。
「え……?」
黒髪がシーツに流れ、女の人の甘い匂いがくらくらさせる。
シングルベッドなので互いの距離はほとんど無いのだ。
ふにっとした柔らかな感覚にナツキは視線を落とす。
パジャマ越しに伝わる彼女の柔らかな胸を、あろう事か鷲掴みしてしまっていた。
「うわあっ!ご、ごめん!ごめんなさい!」
状況が把握できてないながらも、慌てて彼女の胸から手を離した。一体何がどうなっているのか?
昨夜のことを思い出すものの、まったく記憶がない。
まさか……無意識のうちに女の子を引き入れて、無意識のうちに大人なあれやこれやを……。
「いやいやいや!ない、それはない!」
そんな事になっているなら、せめて、記憶に残ってて欲しい……じゃなく!まずは、何でこんな事になっているかなのだ。
「んううー」
ナツキが一人で慌てふためいていたからだろう、ベッドの女の子は目を擦りながらこちらを見つめている。
そこでようやく気付いた。
「え?ノア?えっと、何でここに?」
ノアはナツキの言葉にも反応せず、まだ寒いとばかりに布団をかけ直し、二度寝を試みようとする。
さすがにナツキも彼女を必死で止めようと肩を掴んだ。
「寝ちゃ駄目だって、起きて!むしろ、この状況は起きて貰わないと困る!シノミヤや、羽柴さんに見つかったら……」