終わりで始まる進化論~第一部~
ナツキVSシノミヤ
「申し訳ないですね、シノミヤ君とノア君にも付き合って貰ってしまって」
「んな事思ってんなら、所長のあんたが直々に特訓してやりゃ良いだろ?」
呆れ顔のシノミヤの言葉に頭を掻きながら、わざとらしく肩を竦める。
「私は無理ですよ。戦力には向きませんし、それに今回の模擬戦にはシノミヤ君は必要戦力なんですよね」
シノミヤはあまり納得いっていない様子で嘆息したが、言い返す様子がない所を見れば諦めてもいるのだろう。
羽柴の指示に背くほうが面倒な事態になりかねない、というのは予想がつく。
「では、ナツキ君にはこれをあげましょう」
羽柴がナツキの足元に置いたのはブーツだ。黒い光沢のある硬く重そうな素材であり、衣装というよりは武装、装備などゲームで戦士などが身につけている様な代物だ。
「かっこいいでしょう?私のコレクションです」
ナツキは動き辛そうなブーツを蹴り倒すと、無残にも一部の部品が取れたのか小さなネジが転がって倒れた。
「何をするんですか?!私のコレクションが……」
「何をくれるかと思えば、それ履いて俺に街中を歩けって?その中途半端なコスプレで?嫌がらせ以外のなにものでもないでしょう!」
「失礼な人ですね。これがあなたの武器なんです。ほら、シノミヤ君は中距離遠距離型射撃武器、ノア君は近距離型の刀、そして、あなたは、超近距離型のこれです」
「ほぼ生身じゃないですか!激突しろって事ですか!」
裸(武器無し)で突っこむとはジャパニーズカミカゼ隊員も驚きの戦略だ。
ある意味敵も恐れるクレイジーさである。ノアはともかく、シノミヤは明らかに憐れむ視線を送ってきている。
「そういう事です」
「……」
少しは否定してくれると思っていたナツキだが、羽柴はあっさりと肯定してきた。下っ端は命を散らしにいけという事だろうか。