終わりで始まる進化論~第一部~
特殊武器
「ナツキ君の課題も見えてきましたけど、もう少し試合を楽しみたかったんですよ。二人とも戦闘不能って男二人が情けないですね?ノア君」
「ん?」
毒を吐くことを忘れない羽柴に対し、分かってないのか小首を傾げたままシノミヤへの手当を続けるノア。
男二人は返す言葉もなく心身ともに撃沈状態だ。
「大体、どっかのヘタレが突っ込んで来なきゃ、まともな試合してたっつーの」
更に手痛い一言を浴びて肩身がだんだん狭くなり、縮こまっていくナツキに意外な人間のフォローが返ってくる。
「そこはシノミヤ君がフォローすべきですよ。先輩でしょう?」
「羽柴さんっ!」
やっぱり大人である。いざという時はやはり頼れる人なのかもしれない。
「何の為のライフルなんです?間合いを詰められる前に撃ち落とす。速度が速い的を狙う練習にもなるでしょう?」
「……」
前言撤回。頼れるどころか、殺す気満々である。
フォローどころかすかさずトドメを刺しに来るところも、腹黒い狐だ。
「そんなに言うならシノミヤがシュタールアイゼンを動かしてみれば良いじゃないか!」
普段は持ち上がらない重量の上に、加速時の軽量化への差が大きすぎる為にバランスのさじ加減が難しい。
一歩間違えれば不良品というレッテルを貼られてもおかしくはない。
その難しさは経験してみないと分からないのだ。
「残念ですが、それは無理なんですよ」
「え?」