終わりで始まる進化論~第一部~
「唯一無二の武器かあ。悪くないなあ」
特別視されている様で、一気に株も跳ね上がったのではないだろうかとさえ思えてしまう。
おまけにノアと同じでレア物の武器となれば、ナツキのテンションも自然と上がってしまう。
意地悪にもシノミヤに再度話題を振ってみる事にする。
「シノミヤ聞いてた?俺の武器って稀少なんだって」
「まともに使えてねえのに武器なんて呼べるかよ。要は戦闘力が高いやつが凄えんだからな。分かってんのか?ド素人」
「まあ、そうですね。ノーマルな武器でも、シノミヤ君の場合は器用さがある分、そつなく中距離遠距離タイプはマスターしてますし、狙撃にはかなり良い仕事もしてくれます」
シノミヤの方を改めて見ると、この上無いほどのドヤ顔を浮かべている。
自慢し、からかってやろうと思ったナツキだったが、逆に彼の株を上げてしまう結果になった。
「ですが、今回の試合は酷いです。これじゃ、ノア君にいつまで経っても勝てませんよ」
男二人の争いなど最初から不毛だったようだ。現役チャンピオンは屈託のない子供のような笑顔で笑っている。
余裕の笑みだろうか、当分勝てそうにないと実感するナツキとシノミヤだった。