終わりで始まる進化論~第一部~
余計な事を主張してしまえば、羽柴は十倍にも増して痛いところを突いてくる人間であることを忘れていた。
精神面だけのHPでいけばナツキは既に反撃する力は残っていない。返事もするのもやっとの状態だ、早く教会へ行って回復の呪文を授かりたいところである。
リベンジマッチは一日に限られている。
シノミヤの場合は体力が持続する限りは戦闘可能だが、ナツキやノアは攻撃によってもエネルギーが消費されるため、休息は絶対条件だ……と言われているが、ノアはこれまで疲労を見せたことがない。
やはり、対進化生物(ハーフタイプ)は作りが違うのだろうか?
そんな事を考えていると、子供のように口を尖らせて羽柴が背を丸める。
「訓練はこの辺りにして、今日は早めに切り上げませんか?お腹も空きましたし、実は来客が来る予定なのです」
「来客?」
ナツキの不思議そうな声とは対照的に、シノミヤは大袈裟なほどに溜め息をつく。
このリアクションは来客というのも期待できない証拠だろう。
「どこからだ?西か?東か?それとも別の……」
「安心してください。今回は西の客人ではないですよ。東です」
「どっちにしても俺は嬉しくねえ知らせだ」
彼らの話の内容がまったく見えてこないナツキは今度は口を尖らせる結果になる。
「東とか西とか話が見えないんだけど。もっと俺にも分かりやすく説明してよ」
「そうですね。ナツキ君は初対面になるでしょうし、詳しい説明もいるでしょう。とりあえず、お茶にしましょう」