終わりで始まる進化論~第一部~
敵襲
「あの……俺、やっぱ外で待ってても」


「直ぐ終わるわよ。そこで待ってなさい」


「はあ……」


羽柴の洋館の雰囲気も馴染めないナツキではあったが、更に窮屈な思いをする事になるとは思わなかった。




色とりどりのマカロン型のクッションや、白を貴重とした部屋にハート形の小物入れやら、かなり少女趣味な部屋のソファーに座らされているナツキの居心地の悪さは派手好き所長の部屋に居るときの比ではない。





案内の途中に荷物を置きたいと要求され、他にもやることがあると部屋に通されたが、女性の部屋になんて入った事はない。
異性と部屋で二人きりなのだ。





見た目は子供っぽいが、大人の女性との空間は落ち着かない。




しかし、ナツキの淡い下心つきの緊張など理解もして無さそうな様子で、アリスは鞄から小さな花の玩具を取り出す。





ナツキも見たことはあった。昔流行したらしく、音によって身体を揺らして踊る花の玩具と似ている。





「キシシシシ!」




愛らしいゆるキャラの様な単純な顔立ちで、にこりと笑っているそれは、音もたてない内から声を出して笑ったのだ。





「こいつ、笑うんですね。春日井さん、こんな玩具集めるの好きなんですか?」



「あんた、また馬鹿にしてるでしょ?」



睨みあげてくる気の強そうな瞳は、少し拗ねている表情にも見えて、本当に目の前の人は年上なのだろうか?という疑念は拭えない。





可愛らしいんだよなあ、とナツキは考えてしまうが口に出せば半殺しの刑に処される気がして否定する。





「してないですよ」



「……まあ、良いわ。これ玩具じゃないし。この子はね、ヴェルベットアイって言うの」



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