終わりで始まる進化論~第一部~
呆れと諦めの混じる口調で次がれた説明を聞きながら、その玩具らしき花を見つめる。確かに、その名前の由来通りなのか深い赤色をした花びらをつけている。
アリスが花びらを指で撫でると、再び高い声で笑って身体を揺らす。
何とも愛らしい花なのか、生物なのか分からないそれは日差しの方へと身体を向けた。
「常に一緒にいるわ。ビジネスパートナーだから」
「え?こいつが?」
ナツキにはアリスの言っている意味がよく分からない。
子供になつかれそうなマスコット的な花が一体何の役に立つのだろう。
しかし、少し誇らしげにその花を手に取ると、鉢から引っこ抜き肩へと乗せた。
根っこのない花が、人の肩に乗って咲いている。何ともシュールな絵面だ。
「それにしても、俺が案内するまでも無かったんじゃないですか?春日井さん、前にもここに来たことあるんですよね?」
「そうね。視察なんて建前よ。互いの交流なんて馬鹿げてるわ、会食だって、あたしにとっては意味ないもの。ただ、羽柴は気になるんじゃないかしら?あたし達の事は把握しておきたいんでしょ。昔から抜け目ないのよ、あの男」
「そうなんですか?」
羽柴は気乗りしなさそうな口調で話していたが、あれも芝居だったのだろうか?
「羽柴さんとは付き合い長いんですか?」
アリスの表情は一瞬その問いかけで険しいものになったが、呆れなのか諦めなのか、大袈裟なほどに深い溜め息をつく。
「まあ、昔はあたしもあいつの部下だったし」
「え!?」
「何よ、そんなに意外?あたしにも新人の頃はあったんだから」
今も外見だけでいったら、新人どころか社会人と名乗っても通報されそうな勢いのアリスが問題ではない。
「いや、なんていうか……春日井さんと羽柴さんって合いそうにないから」
「まあ……そうね」