終わりで始まる進化論~第一部~
第二形態人種
位置にすると闘技場の辺りだろうか、二体は発見できた。
一体は顔や上半身は人間の身体を保っているものの、下半身は蛸みたいな軟体動物の足が複数地面をうねっている。
一体は大きな赤ん坊に見える。その巨体で肉付きのいい手足を地面に打ち付けていた。
確かに羽柴の言っていた通り、人間と言うには相応しくない新たな生き物に変化している。
「あんな化物と殺りあえって?正気じゃねえな、所長も!」
「正気なんて保っていたら食い殺されるか、絞め殺されるかですよ。頑張って下さい」
戦闘前に受け取った通信機から羽柴の声が聞こえてくる。
皆用途に分けてか通信機の形状は違っている。ナツキは空中戦も問題ない様にチョーカーとして素肌に身に付けられるタイプ。
シノミヤは少しでも発砲音への配慮なのか、ヘッドフォン型となっている。
ノアへの指示は恐らく液晶画面のついた物が渡されているはずだ。
物騒な事を口にする割にはそれぞれの特性と能力にあった物を用意してくれるのは用意周到な羽柴らしい。
「どっちも死因としちゃ最悪だな。けど、この人数でどうする?人員は割きたくねえとは言ってられねえだろ」
「そうですね、巨体な方はアリス君に任せましょう。三人でどうにか早めに蛸を駆除し、アリス君の援護に回ってください。私は……もう一体の場所を調べます」
「お願いします」
シノミヤやノア、アリスへと視線を合わせあうと、作戦は開始された。
「さあ、餌の時間よ!行きなさい、ヴェルベットアイ!」
アリスの指示で肩に乗っていた愛らしいマスコット的な花は、地面に降り立った次の瞬間、茎を伸ばし花も開かせ中心には全てを呑み込もうとする大きな口に鋭い歯も備わった食肉植物へと変化する。
「ギギギギチチチチ……キキキイイイイ」