終わりで始まる進化論~第一部~
「もう片付いたの?凄いな、春日井さん」
ヴェルベット・アイの変貌ぶりにもトラウマになりそうな程の印象を持ったが、やはり支所の長を務めているだけあって、凄い能力の生き物を飼い慣らしている。
本来なら気が狂ってもおかしくない、とアリスは言っていたが、ナツキは純粋にその光景が綺麗だと思ってしまっていた。
意識を奪われていたのだ。
「よそ見してんじゃねえよ、ドヘタレ!」
「うわっ!」
傍にいたシノミヤの声で我に返るナツキだが、直ぐに肩で弾かれてしまう。
何発かの発砲音と共に軟体動物の様な足の一本が弾け飛んで、頬や首筋に黄色い粘液上の液体が飛び散った。
ナツキを狙ってきた足を狙撃したのだろう、思い切り睨まれた挙句に身体を再び突き飛ばされる。
「邪魔すんなら退け!先に撃ち殺すぞ!」
「なっ!」
気が立っているのか、シノミヤの言葉づかいもより一層物騒になっている。
反論しようとしたものの、返す言葉が見つからない。現状、シノミヤの邪魔にしかなっていないからだ。
「ごめん……」
ナツキの一言に苛立たしげに舌打ちしたシノミヤは援護射撃をしながらも、吐き捨てる。
「謝ってる暇があんなら引っ込んでろ」
前線で戦って足をいくつか切断しながらも、更に攻撃を仕掛けているノアの姿が見える。