終わりで始まる進化論~第一部~
副作用
「え……そん……な」
片足を負傷している上で拘束されている状態なのだ。今度こそやれる事はない。
シュタールアイゼンにも見放されたナツキは触覚から黄色いゼリー状の液体を垂らされ始める。
溶かして食らうつもりなのか分からないが足は既にシュタールアイゼンの重みすら感じないほどに感覚が麻痺していた。
セカンドタイプの大きな目玉がナツキを見つめていた、が、その背後からナツキの持つシュタールアイゼン同様の無機質な声が聞こえた気がした。
「白樺、標的ヲ確認シマシタ。排除シマス」
鈍く輝く白刃が上空からセカンドタイプの背中に食い込ませたのだ。裂け目から黄色い液体が飛び散って大きな体はナツキの傍で地面に向かって傾いていく。
触覚によって拘束されたナツキの身体は宙に舞った。そんな彼の目の前に手が伸ばされる。
その手の差し出し主は機械みたいな表情から、黄色い液体を浴びながらもナツキの前で微笑んだ。
「の……あ……?」
ナツキは彼女に向かって手を伸ばす。
その手を取って貰えたのか、ナツキには確認できなかった。
彼の意識は彼女に触れる前に途絶えてしまったのだった。