終わりで始まる進化論~第一部~
「ごめんって。俺の名前は知ってる、よね?ナツキ=ノースブルグって言うんだけど」
「ああ。変わった名前なんで嫌でも覚えたな。俺はシノミヤだ」
「え……?あれ、そうだっけ?シノミヤって、君みたいな……」
ナツキが何かを言いかけた時に、こめかみに痛みが過った。思わず表情を歪めると不思議そうなシノミヤと視線が合う。
感付かれる事を怖れ、平然を取り繕おうと顔の前で手を振って笑顔を作ったが、わざとらしい物になったかもしれない。
「どうした?」
「いや、少し頭が痛むだけだよ。大丈夫、直ぐに治るから。それより、シノミヤが俺をここへ?」
「は?お前本気で大丈夫か?授業中ぶっ倒れたの覚えてねえのかよ……まあ、頭は結構強く打ったって言ってたけどな」
シノミヤは空いている机へと視線を移す。もう一つの教職員用の椅子が置かれているのは、恐らく保健の先生のものだろう。シノミヤが運んできた時には、まだ居たのかもしれない。
職員会議にでも出ているのだろうか?後で戻ってきたら頭痛の事でも聞いてみよう。