終わりで始まる進化論~第一部~
「え?何?」
振り返ると謎の外国人がいた。大きなキャスケットと丈の合わない白衣。猫耳パーカーと妙な格好だが、顔を上げると澄んだ碧眼と瞳が合う。
少年なのだろうか?中性的な顔立ちで、その人物は微笑んだ。
「Excusez-moi,bonjour.Vousetes du quarter?」
「え?えっと……え?」
「Je suis perdu」
どうしよう。
ナツキは困惑してしまう。
ナツキは長々しいセカンドネームを付けているものの、全く異文化交流などした事がないのだ。小さい頃はそれがコンプレックスでもあった程だ。
「えっと、もう一回言って貰うには……え、えくすきゅーずみー?」
我ながら頭の悪そうな発音に泣きたくなるが、目の前の少年は不思議そうにナツキの言葉を待っている。
上手く伝わる自信もなければ、この沈黙が痛い。
「は、羽柴さん呼んでこよう!えっと、す、すとっぷ。すとっぷ、ぷりーず」
身ぶり手振りで伝えようとしていた所で、本部の扉が開いた。救いの神とはこの事だろうか、ナツキは期待を込めた眼差しで振り返る。