終わりで始まる進化論~第一部~
「羽柴さ……げ!」
「何だよ、その反応は。所長でなくて悪かっ……」
最悪だ。よりにもよって今一番頼りたくない男と遭遇してしまった。
ナツキの表情に初めは険しい顔で言い返そうとしたシノミヤは、何か一点を見ては硬直する。
「な……おまっ……」
「あっ!シノミーん!」
緩い口調と同時に、先程までペラペラと異国の言葉を話していた少年は瞳を輝かせてシノミヤに抱きついていく。
いや、正式にはタックルに近いが。
「ぐおっ……!んがっ!」
無防備な鳩尾にタックルを決められ、扉に後頭部を激突させられたシノミヤは、言葉を失う程の激痛と戦っている。
「シノミん?ねえ、大丈夫!?しのみーん!やだやだ、シノミん、死んじゃやだあっ!」