終わりで始まる進化論~第一部~
羽柴の瞳は僅かに細められたまま、黙り混んでしまった。
まさか羽柴に説教とは、この空気を察する事が出来ない程の人間なのか?
心臓に毛が生えているどころのメンタルの話ではない。
毛玉が脈打っているのではないだろうか。周囲のナツキがこの空気の威圧感に押し潰されそうである。
「……それで、リュカ君と私が尻拭いさせられている、あの人はどこに居るんですか?」
「知らないよ。居なくなっちゃった。可愛い女の子の所にでも行ってるんじゃない?いつもの事だよ」
肩を竦めながらもリュカは簡単に状況説明をしては、傍にあるお茶請けのお菓子を頬張っている。
「あ、あの……羽柴さん」
「……何です?」
羽柴の影を差した微笑みがナツキの恐怖心を煽るが、どうにも気になった事がある。