終わりで始まる進化論~第一部~
「羽柴さん、お兄さんがいらっしゃるんですか?」
「私を何だと思ってるんですか、ナツキ君は。家族くらい居ますよ」
「いや、そうじゃなくて。お兄さんも、ここの組織の人なんですか?」
今のリュカの話を聞いていれば、何となく予想は出来るものの、この羽柴の実の兄なのだとしたら、それを考えるだけで胃が痛い。
しかし、ナツキより先に溜息をこぼしたのは、他でもない羽柴だった。
「はい。私の兄は組織の人間として現在、西部支所を任せている支所長です。つまりは、リュカ君の上司になる訳です」
「えええ!そ、そんな人が居なくなったってそれ、まずいじゃないですか!」
「ボク、探して来てあげようか?シノミんと一緒に!」
「……だそうです、シノミヤ君」
「はあ!?何で俺が行かねえといけねんだよ!しかも、こいつと!」
「何でってデートだからだよ」
「ふざけんな!行くか、アホ!」
「行かないんですか?シノミヤ君」
声を荒げて抵抗を試みるものの、空気を凍り付かせる組織のトップの微笑みの尋問が開始される。