終わりで始まる進化論~第一部~
リュカの自由な振る舞いや、行方不明の兄にも苛立ちを募らせた矛先は、どうやらシノミヤへの八つ当たりという形に向いたようだ。
こうなればさすがのヤンキーも言葉を詰まらせている。蛇に睨まれた蛙状態だ。
「ぐっ……」
「別に構いませんよ、今回は貴方の責任ではないですし。ただまあ、汚名返上をするチャンスを無駄にするんですか?」
「お、汚名返上って何もしてねえだろうが!」
「セカンドタイプの時に私の指示を聞かず、ナツキ君を放っておいたでしょう?貴方はあの作戦でバディだったはずです」
「あれは、俺じゃなくてそこのヘタレが!」
「バディというのは全ての責任を請け負うものでしょう?秘密兵器として貴方に任せたのに非常に残念です」
シノミヤにとって理不尽でしか無いのだろう。先ほどから羽柴の視線を掻い潜っては、夜叉の様な形相でナツキを睨んでくる。
どうか、後で蜂の巣にだけはなりませんように……。