終わりで始まる進化論~第一部~
何故自分自身にその振りがやって来たのかは、正直な所よく分からない。
呆気に取られた表情をし続けるシノミヤに更にリュカは捲し立てる。
「だから、シノミんはなっつんにノンたん取られても良いの?!」
「あのな、別に俺とノアはそんなんじゃねーよ」
確かに同僚と一言で片付ける様な間柄ではないとシノミヤも分かっているが、だからと言って恋仲という訳ではない。
勿論、そんな異性としてノアを意識した事は無い、と思う。
そもそも、ノアにこそそんな感情があるとも思えないし、だからこそ気楽で居られる。
ただ、ノアにやたらとヘラヘラするナツキに苛立つだけで、それが恋慕に直結するとは思えないのだ。
だが、目の前にいるリュカの疑いの眼差しが注がれると別に悪い事をした覚えもないのに視線を反らしてしまう。
何故浮気した男みたいな責められる空気にならねばならないのか。
「あ。目、反らした。やっぱり後ろ暗いんだ。ノンたんの事好きなんだ」
「お前の視線がいちいち鬱陶しいんだよ!」