cold tears
「ねぇ、ほんとに楽しかった?」

少しの間があいた。

「いえ。本当の事を言うと、あまり覚えてないです。」



やっぱり、と言った顔でこっちを見た。



「でもそれは、貴方たちの歌がどうこうって話じゃなくて.........私の問題だから......。」




これ以上聞かれたくはなかった。
誰かに政人の話なんかしたくない。




グラスに残っていたカミカゼをぐっと飲み干し、隣の彼に、すみません、と一言告げて、店を出た。





喉がカーッと熱くなったような気がした。





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