cold tears
結局また、逃げた。
普通の生活に、政人がいなかった頃の生活になる事から逃げた。
少し飲み足りなくて、またあのバーへと向かう。
ただ、そこにはまたあの人がいて。
「こんばんは、ルカちゃん。」
「こんばんは......。」
かろうじて顔は覚えていたものの、名前はやはり思い出せない。
「牧田 寛希です。」
私が思い出す前に名乗った牧田さん。
あぁ、そう、牧田さん。
「この前はごめんね、なんか急に話しかけちゃって。」