cold tears
「どうして行かないの、ライブ。」
私たちの会話を聞いていた向井さんが声を掛けた。
「どうしても。......思い出しちゃうから...ふふ...まだ全然進めてないんです......だから...。」
鼻の奥がツンとするような気がしたのは、涙ではなく、きっとお酒のせい。
そう、きっと。
「そっか。ゆっくりでいいよ。ルカちゃんは強いんだからさ。」
いつも柔らかい笑顔を向けてくれる向井さんには感謝しかない。
この言葉に、この笑顔に何度も救われた。
「ありがとう、向井さん。」
「いいえ〜、いつでも相談のるからね?」
思わず、笑顔がこぼれる。
安心できるお兄さんみたいな感じ。