cold tears
それから間もなく、牧田さんが帰ってきて、
「仕事で呼ばれちゃったから、出るね?......またねルカちゃん。」
少し不満そうな牧田さんに笑ってしまった。
お疲れ様です、の一言を言って彼の背中を見送る。
牧田さんはなんだか、とても変わった人だ。
風のようにスっと近づいて、私の心を少し動かして、そしてあっという間に去っていく。
この時にはもう、彼に惹かれてたのかもしれない。
「向井さん、カミカゼ下さい。」
カミカゼでそんなまだよくわからない想いを飲み込む。