cold tears
「わかりました。」
この言葉は案外サラッと口から出た。
ただ、どうしてこんなことを言ったのかは分からない。
分からないけれど、この人に何かを預けてみるのもいいかな、預けてみたいと思ったんだろう。
私の返事を聞き、やったぁ〜〜〜!と少年のように喜ぶ牧田さん。
私も思わず笑っていた。
「ルカちゃん、俺の事名前で呼んで?」
名前......。牧田さんとしか覚えていなかった私はどうしようか悩んでいると。
「ヒロ、って呼んで?」
「ヒロ...さん。」
私がそう言うと少し不満げな牧田さん。
「さん、別にいらないけどなぁ。まぁ、いいや。合格」
流石に、10も年上の人に呼び捨てはできないよと思いながらも、笑って誤魔化した。