僕は、まだ愛を知らない
記憶の断片的なものなのか。
時々思い出す、海での記憶ーーー・・・
幼い子供は父親の手をとり笑い
太陽が照りつける砂浜の反射で、子供の瞼が重くなる。
自然に薄っすらと閉じかけの目で父親を見つめ笑うと、父親はその幼い子供を愛しそうに笑顔で抱き上げる。
ふと、父親が正面を向いた。
父親は子供に向けた笑顔で、愛しそうに名前を呼んだーーー・・・
『・・・ーーーーーラ』
父親が笑顔で見つめる先に居るのは、
栗色の腰まである髪の毛を風になびかせ、歩きながらこちらを振り返る女性。
『 ・・・ーーーーーー リク、おいで 』
・・・ーーー 嗚呼、今日も声が聞こえる。