God bless you!~第7話「そのプリンと、チョコレート」・・・会長選挙
2月9日~「そんなの簡単だよ。ブラザーK♪」
2月9日。
今朝は、いつになく荒れた。
まず……右川が珍しく10分早くやって来た。
朝からヘラヘラと上機嫌でやって来たかと思うと、「みんな寒いのにムダに頑張るね♪」と半分、小馬鹿にしたような励ましを他陣営に向け、「あれ?ねーねーねー」と信じられない事に、重森の肩を馴れ馴れしくポンポンと叩いた。
重森は、あぁ?と、怪訝そうに上から睨む。
右川は、周囲が殺気立つのを気にも留めず、
「今日ってさ、主役の重森くんは、来てないの?」
重森本人に……訊いた。
唖然とする重森陣営に向けて、バスケ部を始めとする、周囲が一斉に、もう爆発的に吹き出した。永田は、ゲラゲラゲラ!と転げ回り、桂木は、クククと腹を抱えて泣いている。
俺は、どうにか耐えた。
居るのか居ないのか分かんない。存在感が薄い。それを公に晒されて笑われて、重森にとって、これほどの屈辱は無いだろう。
「ツブ……殺すぞ」と、低いうめき声をあげる。
「構うなって。関わり合いになるとこっちが損だ」
なだめる仲間と共に、重森は他所へ逃げ出した。
右川は、お次は永田陣営の赤い優勝旗を引っ張りながら、「これ、どーしたの?血だらけじゃん」と、ここでは周囲の笑いを誘うにとどめた。
永田とガチの争いに発展しなかったと、少なからずホッと胸を撫で下ろす。
そこで右川はいつかのように黒いマフラーに顔を埋め、クンクンと何やら匂いを嗅ぎ、また気持ちの悪い笑みを浮かべて……そこで目が合った。
次は俺か。
来るなら、来い。
どんな攻撃にも挑む覚悟で居たのだが、右川はツンとソッポを向いて、黒川の方に歩み寄る。
〝近寄るな〟鋭意続行中。命拾いした。
黒川から何やらお菓子を渡されて(買収だろ、それ)、右川はそれをポン!と口に放り込むと、モグモグモグと呑気に咀嚼する。
「なー右川ぁ。永田が最高に注目を集める方法。何か、ないかな?」
「そんなの簡単だよ。ブラザーK♪」
モグモグモグ。訊く方も訊く方なら、答える方も答える方だ。
そこで右川が何やらコソコソ耳打ちして……何やら吹き込まれた黒川は、「うわぁ」と、顔をしかめ、右川は「ケケケ♪」と笑う。
何を企んでいるのか知らないが、どうせロクでもない事だろう。
そして、その日の昼休みに事は起きた。
今朝は、いつになく荒れた。
まず……右川が珍しく10分早くやって来た。
朝からヘラヘラと上機嫌でやって来たかと思うと、「みんな寒いのにムダに頑張るね♪」と半分、小馬鹿にしたような励ましを他陣営に向け、「あれ?ねーねーねー」と信じられない事に、重森の肩を馴れ馴れしくポンポンと叩いた。
重森は、あぁ?と、怪訝そうに上から睨む。
右川は、周囲が殺気立つのを気にも留めず、
「今日ってさ、主役の重森くんは、来てないの?」
重森本人に……訊いた。
唖然とする重森陣営に向けて、バスケ部を始めとする、周囲が一斉に、もう爆発的に吹き出した。永田は、ゲラゲラゲラ!と転げ回り、桂木は、クククと腹を抱えて泣いている。
俺は、どうにか耐えた。
居るのか居ないのか分かんない。存在感が薄い。それを公に晒されて笑われて、重森にとって、これほどの屈辱は無いだろう。
「ツブ……殺すぞ」と、低いうめき声をあげる。
「構うなって。関わり合いになるとこっちが損だ」
なだめる仲間と共に、重森は他所へ逃げ出した。
右川は、お次は永田陣営の赤い優勝旗を引っ張りながら、「これ、どーしたの?血だらけじゃん」と、ここでは周囲の笑いを誘うにとどめた。
永田とガチの争いに発展しなかったと、少なからずホッと胸を撫で下ろす。
そこで右川はいつかのように黒いマフラーに顔を埋め、クンクンと何やら匂いを嗅ぎ、また気持ちの悪い笑みを浮かべて……そこで目が合った。
次は俺か。
来るなら、来い。
どんな攻撃にも挑む覚悟で居たのだが、右川はツンとソッポを向いて、黒川の方に歩み寄る。
〝近寄るな〟鋭意続行中。命拾いした。
黒川から何やらお菓子を渡されて(買収だろ、それ)、右川はそれをポン!と口に放り込むと、モグモグモグと呑気に咀嚼する。
「なー右川ぁ。永田が最高に注目を集める方法。何か、ないかな?」
「そんなの簡単だよ。ブラザーK♪」
モグモグモグ。訊く方も訊く方なら、答える方も答える方だ。
そこで右川が何やらコソコソ耳打ちして……何やら吹き込まれた黒川は、「うわぁ」と、顔をしかめ、右川は「ケケケ♪」と笑う。
何を企んでいるのか知らないが、どうせロクでもない事だろう。
そして、その日の昼休みに事は起きた。