God bless you!~第7話「そのプリンと、チョコレート」・・・会長選挙
2月14日~公開演説……右川は、何を言うのだろう
2月14日。
各候補者の演説が行われる今日、朝から晴天!
とはいかず、どんより曇っていて、その寒さはハンパなかった。
選挙戦は、今日の演説を1区切りとして、この3日間、スパートを掛ける。
有権者は、3日を待たずして投票もできるのだ。
あと3日。
3組で最後の打ち合わせの最中、「細過ぎっ!なーんか、あんたって見てるだけで寒い」と、藤谷から、体型やら(関係ないし)キャラクターやら(関係ないし)、きついダメ出しを受けていると、廊下で選管と何やら話している桂木から、「ちょっと来て」と手招きで呼ばれた。
行けば、既に選管の姿は無く、そこにはどことなく見覚えのある後輩女子が2人居る。
「ハイ。これ」と、一斉にチョコレートを渡された。
「頑張って下さい」
「私、ちゃんと先輩に投票しますからね」
どちらも、どこか見覚えのある後輩女子である。「あ、ありがとう」
少々、小っ恥ずかしい。熱い胸の高鳴り、とまでは行かないにしても、恥ずかしさも混ざって、少々、疼いた気はする。
後輩女子が消えてすぐ、「一応、言っておくけどさ」と、桂木は改まると、
「仕込みじゃないからね」
正直、ア然とした。
そんなドス黒い猜疑心に溺れるほど、俺の性根は汚れちゃいませんが。
貰ったチョコの包み紙を開こうとして、思い留まり、桂木に預かってもらおうと頼んだ。
「さっきの選管から。沢村がトップ・バッターだって」
ドーン。
少なくとも、3秒は心臓が止まった気がする。
「それさ、チョコより先に教えてくれよ」
「まさか緊張してる?君ほどの人が」
「俺、そんなに馴れてないよ」
いつの間にか寒さも感じなくなるほど、もう頭が緊張で一杯だ。
「慣れないのは緊張?それとも、女子からチョコを貰う事?」
ハイ!と、キットカットを1つ渡されて……どっちも。
その場をごまかそうと、キットカットの包み紙を破り、その場で食った。
何故か、全く味を感じない。「あたしも、いい?」と訊いた桂木は、返事を待たず、1つ出して食べ始める。
このチョコは100パーセント義理。
いや、恐らくは敢えて軽~るく義理を装う事で……止めよう。
長い間、しばらく動かないだろうと決めつけていた。
あれ以来、1度も触れる事のない、胸内のエンジン。
昨日、桂木の、あの一言は、確実にその胸内を叩いた。
打ち解けてくれたとは思っていたし、ひょっとしたら、そういう事もあるかもしれないと薄々感付いてはいたけれど、不意打ち。まさかあの時点で飛び込んでくるとは思っていなかった。来るとしたら、選挙が終わってから。
直後、俺は気の利いた言葉が思い浮かばず、「桐生はどうすんの」と、思ったまんま出てしまう。
「それ、スベってる。ツマんない。ちょっとムカつく」と、ちょっと桂木を怒らせた。
桂木は、終始、「まじ、ツマんない」
俺は、「ごめん」と、ひたすら謝る。
こう言う時、思うのだ。もはや〝ツマんない〟は、スイッチにならない。
その後、桂木は普通に接してきて、途中まで一緒に帰り、今朝もメールで待ち合わせて演説最終チェック……まるで何事も無かったように、今を迎えて。
それが助かる反面、桂木と目を合わせる度に〝選挙が終わったら、覚悟してね〟と、突かれているような気がする。
その覚悟は、桂木への返事でもあり、生徒会3役という役割を決める事でもあった。
各候補者の演説が行われる今日、朝から晴天!
とはいかず、どんより曇っていて、その寒さはハンパなかった。
選挙戦は、今日の演説を1区切りとして、この3日間、スパートを掛ける。
有権者は、3日を待たずして投票もできるのだ。
あと3日。
3組で最後の打ち合わせの最中、「細過ぎっ!なーんか、あんたって見てるだけで寒い」と、藤谷から、体型やら(関係ないし)キャラクターやら(関係ないし)、きついダメ出しを受けていると、廊下で選管と何やら話している桂木から、「ちょっと来て」と手招きで呼ばれた。
行けば、既に選管の姿は無く、そこにはどことなく見覚えのある後輩女子が2人居る。
「ハイ。これ」と、一斉にチョコレートを渡された。
「頑張って下さい」
「私、ちゃんと先輩に投票しますからね」
どちらも、どこか見覚えのある後輩女子である。「あ、ありがとう」
少々、小っ恥ずかしい。熱い胸の高鳴り、とまでは行かないにしても、恥ずかしさも混ざって、少々、疼いた気はする。
後輩女子が消えてすぐ、「一応、言っておくけどさ」と、桂木は改まると、
「仕込みじゃないからね」
正直、ア然とした。
そんなドス黒い猜疑心に溺れるほど、俺の性根は汚れちゃいませんが。
貰ったチョコの包み紙を開こうとして、思い留まり、桂木に預かってもらおうと頼んだ。
「さっきの選管から。沢村がトップ・バッターだって」
ドーン。
少なくとも、3秒は心臓が止まった気がする。
「それさ、チョコより先に教えてくれよ」
「まさか緊張してる?君ほどの人が」
「俺、そんなに馴れてないよ」
いつの間にか寒さも感じなくなるほど、もう頭が緊張で一杯だ。
「慣れないのは緊張?それとも、女子からチョコを貰う事?」
ハイ!と、キットカットを1つ渡されて……どっちも。
その場をごまかそうと、キットカットの包み紙を破り、その場で食った。
何故か、全く味を感じない。「あたしも、いい?」と訊いた桂木は、返事を待たず、1つ出して食べ始める。
このチョコは100パーセント義理。
いや、恐らくは敢えて軽~るく義理を装う事で……止めよう。
長い間、しばらく動かないだろうと決めつけていた。
あれ以来、1度も触れる事のない、胸内のエンジン。
昨日、桂木の、あの一言は、確実にその胸内を叩いた。
打ち解けてくれたとは思っていたし、ひょっとしたら、そういう事もあるかもしれないと薄々感付いてはいたけれど、不意打ち。まさかあの時点で飛び込んでくるとは思っていなかった。来るとしたら、選挙が終わってから。
直後、俺は気の利いた言葉が思い浮かばず、「桐生はどうすんの」と、思ったまんま出てしまう。
「それ、スベってる。ツマんない。ちょっとムカつく」と、ちょっと桂木を怒らせた。
桂木は、終始、「まじ、ツマんない」
俺は、「ごめん」と、ひたすら謝る。
こう言う時、思うのだ。もはや〝ツマんない〟は、スイッチにならない。
その後、桂木は普通に接してきて、途中まで一緒に帰り、今朝もメールで待ち合わせて演説最終チェック……まるで何事も無かったように、今を迎えて。
それが助かる反面、桂木と目を合わせる度に〝選挙が終わったら、覚悟してね〟と、突かれているような気がする。
その覚悟は、桂木への返事でもあり、生徒会3役という役割を決める事でもあった。