God bless you!~第7話「そのプリンと、チョコレート」・・・会長選挙
ところで。
「重森って、当選したら3役って、どうする気でいんの」
毎年行われるのは会長選挙のみ。その他の執行部は会長の指名で決まるのだが、普通、立候補しようという輩は、そのメンツをある程度は決めて立つ。
「そうだな。沢村は副でいいだろ。あとは適当に考えるか」
その口元が微かに歪んだ。
これを操り道具にして、周囲を翻弄すると企んでいることは想像に難くない。
事実、そんなステータスを喉から手が出るほど欲しがる奴も居るから。
俺は……今度は副会長か。
工藤の言葉を借りれば、出世街道を順調に昇り詰めてきたと言える。
だが、もしかしたら俺は選挙で使い捨て、あとは適当……というか、吹奏楽部に都合のいいヤツらで固めることも十分考えられるから、この時点で重森の言ってる事は信用できない。
それでも表面上、俺は重森の後援になる。
ここでも気持ちと行動は一致しないのか。
俺は1つの覚悟を持って、別の方向に目標を定めた。
重森の頭上、その遥か先をジッと捉える。
これは、これから自分に降りかかるであろう後始末を、文字通り後回しにしただけの事。今はおとなしく従っている振りをして見せているだけ。
新しいミッションは、既に点灯している。
〝右川には、何が何でも会長になってもらいます〟
忘れもしない。あの日の生徒会室、決意を胸に、執行部の前でそう宣言した。
重森という悪の介入を許さず、正しい事で生徒会を一致させる、と。
そのための、これから。
俺は考えを巡らせた。
この沈黙を抵抗と誤解したのか(まんざら誤解とも言えない)、グイ!と重森に胸倉を掴まれる。
「おまえがこっちの応援に入る事は、まだ誰にも言うんじゃねーぞ。俺だって、吹奏楽の誰にも言ってないんだからな」
現状、重森には内情をそっと打ち明けるような、そんな懇意な仲間は居ない。
うすうす分かっていたとは言え、それを確実にした。こんなヤツの元、別団体に属する俺が真面目に働くと、重森は本気で信じているのだろうか。
重森との打ち合わせ(?)が終わる頃、校舎に到着。
教室の入口でたまたま一緒になった黒川が、「らす」と手を上げる。メガネが一瞬で白く煙って、何とも間抜けな顔になると、それがツボって周りと一緒に笑い散らした。
廊下でもクラスでも、もうそこら辺で、「あけおめ~」「ことよろ~」「先輩が卒業しちゃう。どうしよう!チョコとか」と、早くもバレンタイン!?
そんな浮かれた様子が展開された。
自分に彼女は居ない。バレンタインにチョコをくれるような、そこまで覚悟と勇気を持つ女子の存在なんて……あるのかどうかは疑わしい。
周りだけが無邪気に慌ただしく流れて、何となく自分だけが世間から置いてけぼりにされているような疎外感を覚えた。
朝のHRまで、まだ10分ある。俺は席を立った。
「ちょっと5組に行ってくる」
誰ともなしに言ってみると、「またァ?」という周辺の誰だか1人(だけ)から顰蹙を浴びた。
「新年早々、熱いね~」
「これだけ熱心に通ったら、右川も諦めてチョコぐらいくれっかな」
自らスベって大怪我を覚悟でウソ吹いたら、「今年もチョコあげるのはパパだけよ~ん。まぁ右川ってそういうパターンじゃない?」と、答えてくれた女子は、山下さんの存在は知らないようだ。
(右川の親父が〝パパ〟と呼ばれうる人種では無い事も)
「重森って、当選したら3役って、どうする気でいんの」
毎年行われるのは会長選挙のみ。その他の執行部は会長の指名で決まるのだが、普通、立候補しようという輩は、そのメンツをある程度は決めて立つ。
「そうだな。沢村は副でいいだろ。あとは適当に考えるか」
その口元が微かに歪んだ。
これを操り道具にして、周囲を翻弄すると企んでいることは想像に難くない。
事実、そんなステータスを喉から手が出るほど欲しがる奴も居るから。
俺は……今度は副会長か。
工藤の言葉を借りれば、出世街道を順調に昇り詰めてきたと言える。
だが、もしかしたら俺は選挙で使い捨て、あとは適当……というか、吹奏楽部に都合のいいヤツらで固めることも十分考えられるから、この時点で重森の言ってる事は信用できない。
それでも表面上、俺は重森の後援になる。
ここでも気持ちと行動は一致しないのか。
俺は1つの覚悟を持って、別の方向に目標を定めた。
重森の頭上、その遥か先をジッと捉える。
これは、これから自分に降りかかるであろう後始末を、文字通り後回しにしただけの事。今はおとなしく従っている振りをして見せているだけ。
新しいミッションは、既に点灯している。
〝右川には、何が何でも会長になってもらいます〟
忘れもしない。あの日の生徒会室、決意を胸に、執行部の前でそう宣言した。
重森という悪の介入を許さず、正しい事で生徒会を一致させる、と。
そのための、これから。
俺は考えを巡らせた。
この沈黙を抵抗と誤解したのか(まんざら誤解とも言えない)、グイ!と重森に胸倉を掴まれる。
「おまえがこっちの応援に入る事は、まだ誰にも言うんじゃねーぞ。俺だって、吹奏楽の誰にも言ってないんだからな」
現状、重森には内情をそっと打ち明けるような、そんな懇意な仲間は居ない。
うすうす分かっていたとは言え、それを確実にした。こんなヤツの元、別団体に属する俺が真面目に働くと、重森は本気で信じているのだろうか。
重森との打ち合わせ(?)が終わる頃、校舎に到着。
教室の入口でたまたま一緒になった黒川が、「らす」と手を上げる。メガネが一瞬で白く煙って、何とも間抜けな顔になると、それがツボって周りと一緒に笑い散らした。
廊下でもクラスでも、もうそこら辺で、「あけおめ~」「ことよろ~」「先輩が卒業しちゃう。どうしよう!チョコとか」と、早くもバレンタイン!?
そんな浮かれた様子が展開された。
自分に彼女は居ない。バレンタインにチョコをくれるような、そこまで覚悟と勇気を持つ女子の存在なんて……あるのかどうかは疑わしい。
周りだけが無邪気に慌ただしく流れて、何となく自分だけが世間から置いてけぼりにされているような疎外感を覚えた。
朝のHRまで、まだ10分ある。俺は席を立った。
「ちょっと5組に行ってくる」
誰ともなしに言ってみると、「またァ?」という周辺の誰だか1人(だけ)から顰蹙を浴びた。
「新年早々、熱いね~」
「これだけ熱心に通ったら、右川も諦めてチョコぐらいくれっかな」
自らスベって大怪我を覚悟でウソ吹いたら、「今年もチョコあげるのはパパだけよ~ん。まぁ右川ってそういうパターンじゃない?」と、答えてくれた女子は、山下さんの存在は知らないようだ。
(右川の親父が〝パパ〟と呼ばれうる人種では無い事も)