God bless you!~第7話「そのプリンと、チョコレート」・・・会長選挙
今朝から、はっきりとは分からないが、何やら良からぬ風を感じる。
姿形は見えない、圧迫感とも言えない、微妙な、不穏な、よこしまな空気感。
まさか、ここに来て、右川があの犯人は俺だとバラしたのか?
一瞬、ゾッとするが、よく考えたら、そこまでの地獄的な反応ではない。
男子は、俺との間隔領域を広げながら、ニヤけて通り過ぎる。
女子は、もうあからさまに、コソコソと囁きながら遠くなる。
殆どは笑っている。下から探っている。
そして廊下ですれ違う度に、「ひゅう」「ピュー」「いやっほう!」
それはいつだったか、以前どこかで遭遇した憶えのある、ある意味懐かしい風が、やたら吹き込んでくる。
「何?」
尋ねると、そこら辺が揃いも揃っての〝会いたかった~♪〟と、大合唱が始まった。
そう言えば、今日はまだノリの顔を拝んでいないな。
そこに、クラスメートの鈴原が課題プリントを配って回ってきた。
俺の目の前に1枚を置いた途端、「フフ」と、男子にしてはかなり妖しい笑みを飛ばしてくれる。
そこに進藤もやって来て、「沢村くん、ホワイトデーはどうするの?」
「あれって、いつだっけ?3月の」
「14日だよ」と、教えてくれたはいいものの、実の所、あの時チョコをくれた後輩がどの子なのかすっかり忘れている。桂木に訊こう。
「お返しか。女子って、今はどういうのがいい?」
「それはー、それこそ桂木さんに聞けば?」
え。
「何でそれ知ってんの」
進藤も、そこで「フフ」と謎めいて、鈴原と2人揃って仲良く遠ざかった。
鈴原も進藤も、どっちも右川組。何か良からぬ事を言い触らしているのかと危ぶみながら、特に身の危険も感じる事なく、5時間目の小テストを乗り越え、そのまま放課後に突入した。
体育館は、今日から俺のメイン・フィールドとなる。
3年は、もう誰も出てこない。そして、今日は体育館を占領できる日だ。
意気揚揚とコートに飛び込み、準備運動もそこそこ、1年の石原を強引に立たせて遊んでいた。というのも、ノリが、あちこちにフラフラして、なかなか捕まらないから。
そこにブラザーK……黒川がスリ寄って来て、「まじ、ツマんねーワ」と、意味深な事を呟いてすれ違う。続けて工藤が、「桂木と別れたんだって?」と、次元のズレたスッとぼけをカマしてくれた。「浅枝が残念がってましたよ」と、石原までもが、おかしな事を言い出すから。
「何のこと?」
ここで、自分からノリを捕まえた。
そこに突然、後ろからバレーボールをポン!とぶつけられて……見ると、ちょうどランニングを終えてコートに戻って来た、女子バレー部の藤谷である。
「あたしも一生懸命、手伝ったんだけどなぁ」
「悪かったな」
落選して。
「あの犯人、俺じゃないからさ。そこだけホント頼む」
「うん。それは知ってる」
知ってる?
「あれって右川の嘘なんでしょ?そうじゃないかとは思ってたけどさ」
「誰から聞いた?」
「阿木さんから。右川本人がそう言ったって。先生にも会長さんにも怒られたらしいよ」
クソほど、大ウソ。先生も永田さんも楽しんでいた。
もう、そうでもしないとケジメが付かないと言う事か。
あいつもあいつなりに反省して、ここに来てケジメをつけたと言う事か。
それで周りは俺に向けてニヤニヤと笑って……そこにはズレを感じた。
それは浅枝にとって、一体何がどう残念なのか。
「それはいいけどさ」と、藤谷は投げやりに、「全然、気が付かなかったよ」
そこら中が一斉に、俺に向けてユル~い目線を投げ掛ける。
「あんたはいつの間に、ミノリ様と出来上がったワケ?」
姿形は見えない、圧迫感とも言えない、微妙な、不穏な、よこしまな空気感。
まさか、ここに来て、右川があの犯人は俺だとバラしたのか?
一瞬、ゾッとするが、よく考えたら、そこまでの地獄的な反応ではない。
男子は、俺との間隔領域を広げながら、ニヤけて通り過ぎる。
女子は、もうあからさまに、コソコソと囁きながら遠くなる。
殆どは笑っている。下から探っている。
そして廊下ですれ違う度に、「ひゅう」「ピュー」「いやっほう!」
それはいつだったか、以前どこかで遭遇した憶えのある、ある意味懐かしい風が、やたら吹き込んでくる。
「何?」
尋ねると、そこら辺が揃いも揃っての〝会いたかった~♪〟と、大合唱が始まった。
そう言えば、今日はまだノリの顔を拝んでいないな。
そこに、クラスメートの鈴原が課題プリントを配って回ってきた。
俺の目の前に1枚を置いた途端、「フフ」と、男子にしてはかなり妖しい笑みを飛ばしてくれる。
そこに進藤もやって来て、「沢村くん、ホワイトデーはどうするの?」
「あれって、いつだっけ?3月の」
「14日だよ」と、教えてくれたはいいものの、実の所、あの時チョコをくれた後輩がどの子なのかすっかり忘れている。桂木に訊こう。
「お返しか。女子って、今はどういうのがいい?」
「それはー、それこそ桂木さんに聞けば?」
え。
「何でそれ知ってんの」
進藤も、そこで「フフ」と謎めいて、鈴原と2人揃って仲良く遠ざかった。
鈴原も進藤も、どっちも右川組。何か良からぬ事を言い触らしているのかと危ぶみながら、特に身の危険も感じる事なく、5時間目の小テストを乗り越え、そのまま放課後に突入した。
体育館は、今日から俺のメイン・フィールドとなる。
3年は、もう誰も出てこない。そして、今日は体育館を占領できる日だ。
意気揚揚とコートに飛び込み、準備運動もそこそこ、1年の石原を強引に立たせて遊んでいた。というのも、ノリが、あちこちにフラフラして、なかなか捕まらないから。
そこにブラザーK……黒川がスリ寄って来て、「まじ、ツマんねーワ」と、意味深な事を呟いてすれ違う。続けて工藤が、「桂木と別れたんだって?」と、次元のズレたスッとぼけをカマしてくれた。「浅枝が残念がってましたよ」と、石原までもが、おかしな事を言い出すから。
「何のこと?」
ここで、自分からノリを捕まえた。
そこに突然、後ろからバレーボールをポン!とぶつけられて……見ると、ちょうどランニングを終えてコートに戻って来た、女子バレー部の藤谷である。
「あたしも一生懸命、手伝ったんだけどなぁ」
「悪かったな」
落選して。
「あの犯人、俺じゃないからさ。そこだけホント頼む」
「うん。それは知ってる」
知ってる?
「あれって右川の嘘なんでしょ?そうじゃないかとは思ってたけどさ」
「誰から聞いた?」
「阿木さんから。右川本人がそう言ったって。先生にも会長さんにも怒られたらしいよ」
クソほど、大ウソ。先生も永田さんも楽しんでいた。
もう、そうでもしないとケジメが付かないと言う事か。
あいつもあいつなりに反省して、ここに来てケジメをつけたと言う事か。
それで周りは俺に向けてニヤニヤと笑って……そこにはズレを感じた。
それは浅枝にとって、一体何がどう残念なのか。
「それはいいけどさ」と、藤谷は投げやりに、「全然、気が付かなかったよ」
そこら中が一斉に、俺に向けてユル~い目線を投げ掛ける。
「あんたはいつの間に、ミノリ様と出来上がったワケ?」