God bless you!~第7話「そのプリンと、チョコレート」・・・会長選挙
「俺?」
何かいい事?でもなさそう。というのも、「オレ、無理。ヤバい。ウチ、そういうの禁止だから」と、黒川は、寺島さんの前ではありながらも尻込みしているのだ。
……こう言う時、思うのだ。予感がする。きっと、何か面倒な事に違いない。
黒川に引っ張られて、俺はテニスコートまで連れ去られた。
「何とかなりませんか」
見ると……そこには、今世紀最大の迷惑獣、ネズミの死骸が横たわっていて。
そう言う事か。
黒川が一瞬で顔色を曇らせる訳が分かった。あいつはこういうナマモノが苦手なのだ。こう言う時こそ、寺島さんに男子の底力を見せておけばいい物を。
「どうにかしてよ。あんた生徒会でしょ」
寺島さんと違って、テニス部の同輩女子は、もう堂々とブッ込んできた。
生徒会がやって当たり前という態度が、鼻に付く。
「先生に言えよ」
「たっぷんに報告したら、そういうジャンルは沢村が詳しいって言うから」
「く、詳しいって……」
〝たっぷん〟と呼ばれる男の先生は、110キロの巨体持ち。その先生がお手上げ。だからといってそれで当然のように、こっちに降りかかって来る事にも納得できないが、
「お願いだから何とかしてよぉ~ん、だってさ」
たっぷんから、そんなおネェ言葉でナマモノ処理を依頼されるとは。それも想定外である。
ノリに頼んでスコップを調達に向かわせたその間に、「どうすっかな」
コートの上で横たわるナマモノと向き合った。
その昔、松下さんがこれと同様の雑用を言いつけられ、それを先生に訴えた所、「おまえが山にでも埋めろ」と、返り討ちに合っていた事を思い出す。
モデルケースで我々生徒会は学ぶのだ。
人間以外のナマモノは、報告するだけ時間のムダと。
俺はすぐ先の雑木林に入り込み、スコップで穴を掘り、ナマモノもそれで掬って、穴まで運んだ。ちょうどそこを通り掛かった陸上部に、「誰?うんこ?誰のうんこ?!」「うひゃあ!ムリムリ!こっち来んな!」「警戒警戒!フラグ立ちましたッ!」と、大騒ぎで遊ばれる。
だが土に埋もれてその形が無くなった途端、周囲は、「さっすが次期会長」と、こういう時だけ持ち上げる。黒川に至っては、「何だ、意外と小さいじゃん」と強がった。
「だったら、おまえが最初からやっとけよ」
学べ。俺と言うモデルケースから。
切れそうなほど冷たい水で、すりきれるほど手を洗って(意味は無い)、部活に戻った。
試合形式でラリーが始まる。ノリとのコンビで3発続けてスパイクが決まり、身体中が温まり始めて、薄っすらと心地よい汗が滲んできたそこに、「あのう、ちょっといいですか」と、制服姿の1年男子が、楽器を抱いてやってきた。
「吹奏楽ですけど。練習中、変な音がするんです」
……こう言う時、思うのだ。雑用は、いつも漠然としている。
「それは重森に言ってよ」と、俺に代わってノリが答えていると、
「その重森さんが、沢村さんに頼んで来いって」
何でも、言えばいいと思ってる。もう、はっきり嫌悪感を露わにした。
「無視しろよ」と、黒川に、たしなめられたが、そう言う訳にもいかない。
それを言うと、
「何で?吹奏楽に、いいとこ見せる必要ないだろが」
その答えは曖昧に濁した。
弱みを握られて身動きが取れないとは、今の段階では、まだ言えない。
俺はノリに目配せして、部活ユニフォームの、薄ら寒い格好のまま、吹奏楽部員の後に続く。結果、上の部屋で軽音がドラム代わりにダンボールを叩くバチの音が響いていただけ。
ちょっと確かめれば分かる事だし、そこまで神経質になる程の音でもない。
重森を筆頭に、吹奏楽は小さい事を気にし過ぎなのだ。
どれも取るに足らない事なのに……俺は見えない所で、舌打ちした。
重森は、まさかと思うが、弱みを握った嬉しさに、俺を手足に使って喜んでいるのだろうか。
軽音。合唱部。アニソン同好会、その他色々。
吹奏楽が(勝手に)敵対視する団体は、いくらでもある。
もし重森が会長になったら、そういう迷惑団体との交渉役に、俺はコキ使われるのか。3役という名のもとに。
「クソほど、厄介だな」
何かいい事?でもなさそう。というのも、「オレ、無理。ヤバい。ウチ、そういうの禁止だから」と、黒川は、寺島さんの前ではありながらも尻込みしているのだ。
……こう言う時、思うのだ。予感がする。きっと、何か面倒な事に違いない。
黒川に引っ張られて、俺はテニスコートまで連れ去られた。
「何とかなりませんか」
見ると……そこには、今世紀最大の迷惑獣、ネズミの死骸が横たわっていて。
そう言う事か。
黒川が一瞬で顔色を曇らせる訳が分かった。あいつはこういうナマモノが苦手なのだ。こう言う時こそ、寺島さんに男子の底力を見せておけばいい物を。
「どうにかしてよ。あんた生徒会でしょ」
寺島さんと違って、テニス部の同輩女子は、もう堂々とブッ込んできた。
生徒会がやって当たり前という態度が、鼻に付く。
「先生に言えよ」
「たっぷんに報告したら、そういうジャンルは沢村が詳しいって言うから」
「く、詳しいって……」
〝たっぷん〟と呼ばれる男の先生は、110キロの巨体持ち。その先生がお手上げ。だからといってそれで当然のように、こっちに降りかかって来る事にも納得できないが、
「お願いだから何とかしてよぉ~ん、だってさ」
たっぷんから、そんなおネェ言葉でナマモノ処理を依頼されるとは。それも想定外である。
ノリに頼んでスコップを調達に向かわせたその間に、「どうすっかな」
コートの上で横たわるナマモノと向き合った。
その昔、松下さんがこれと同様の雑用を言いつけられ、それを先生に訴えた所、「おまえが山にでも埋めろ」と、返り討ちに合っていた事を思い出す。
モデルケースで我々生徒会は学ぶのだ。
人間以外のナマモノは、報告するだけ時間のムダと。
俺はすぐ先の雑木林に入り込み、スコップで穴を掘り、ナマモノもそれで掬って、穴まで運んだ。ちょうどそこを通り掛かった陸上部に、「誰?うんこ?誰のうんこ?!」「うひゃあ!ムリムリ!こっち来んな!」「警戒警戒!フラグ立ちましたッ!」と、大騒ぎで遊ばれる。
だが土に埋もれてその形が無くなった途端、周囲は、「さっすが次期会長」と、こういう時だけ持ち上げる。黒川に至っては、「何だ、意外と小さいじゃん」と強がった。
「だったら、おまえが最初からやっとけよ」
学べ。俺と言うモデルケースから。
切れそうなほど冷たい水で、すりきれるほど手を洗って(意味は無い)、部活に戻った。
試合形式でラリーが始まる。ノリとのコンビで3発続けてスパイクが決まり、身体中が温まり始めて、薄っすらと心地よい汗が滲んできたそこに、「あのう、ちょっといいですか」と、制服姿の1年男子が、楽器を抱いてやってきた。
「吹奏楽ですけど。練習中、変な音がするんです」
……こう言う時、思うのだ。雑用は、いつも漠然としている。
「それは重森に言ってよ」と、俺に代わってノリが答えていると、
「その重森さんが、沢村さんに頼んで来いって」
何でも、言えばいいと思ってる。もう、はっきり嫌悪感を露わにした。
「無視しろよ」と、黒川に、たしなめられたが、そう言う訳にもいかない。
それを言うと、
「何で?吹奏楽に、いいとこ見せる必要ないだろが」
その答えは曖昧に濁した。
弱みを握られて身動きが取れないとは、今の段階では、まだ言えない。
俺はノリに目配せして、部活ユニフォームの、薄ら寒い格好のまま、吹奏楽部員の後に続く。結果、上の部屋で軽音がドラム代わりにダンボールを叩くバチの音が響いていただけ。
ちょっと確かめれば分かる事だし、そこまで神経質になる程の音でもない。
重森を筆頭に、吹奏楽は小さい事を気にし過ぎなのだ。
どれも取るに足らない事なのに……俺は見えない所で、舌打ちした。
重森は、まさかと思うが、弱みを握った嬉しさに、俺を手足に使って喜んでいるのだろうか。
軽音。合唱部。アニソン同好会、その他色々。
吹奏楽が(勝手に)敵対視する団体は、いくらでもある。
もし重森が会長になったら、そういう迷惑団体との交渉役に、俺はコキ使われるのか。3役という名のもとに。
「クソほど、厄介だな」