野獣の食事
これは、大事だ!

晃が涙を流すなんて……、弘が小学生のころ、近所の中学生の女の子に、無理矢理レイプされ、童貞を失った時でも泣かなかったのに…

…ってー、あの時は嬉しがっていたか。

しかし、一体どうしたというのか。

「……どうした?」

弘はもう一度尋ねる。

酒を飲んで、いくらか冷静さを取り戻したのか、ゆっくりと、呟くように晃が口を開く。

「……女とやれない…」

!!??

女とやれない?

たたなくなったのか?

頭の中、女100パーセントの男が、こんなに若くして、たたなくなるなんて…

弘は、驚きを隠せない。

いつもの、ブランディを飲む時の背筋の角度が、85度から、98度まで上昇した。

「……一体なぜ?」

驚きながら、弘は晃に聞く。

晃は、ゆっくりとグラスを掻き交ぜ、涙をグラスの中で酒に溶け込ませながら。

重い口を開いた。
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