野獣の食事
「…なんか…ナンパしてもひっかからない…」

!!!

ありえない…

晃が今までにナンパして、引っ掛からなかった女はいなかった。

「…童貞を失ってから…始めて…3日も…女としてないよ。」

目から涙を流しながら、晃は切々と語る。

頭を抱え、悲しみのあまり、バーのカウンターに俯せになる晃。

「…オレは…もうダメなのか…こんなこと今までなかった…」

晃の後ろ姿は、悲壮感に包まれている。

こんな晃は見たことない!

タバコを吸いながら、弘は遠い目をし、晃にゆっくりと話しかけた。

「…オレ…一年してないんだけど…」

その話しを聞いた瞬間、晃は突然身体を起こし、弘のほうをくいいるように、真剣に見つめた。

「…弘…お前の気持ちがわかるよ…おお、心の友よ…」

晃と弘は、バーのカウンターにて、ギュッと抱きしめあった。

…たった3日ぐらいで、なに言ってるのか…。
< 20 / 57 >

この作品をシェア

pagetop