野獣の食事
「…よし!苦しゅーない!そこへ連れていけ!」

晃はそういうと、すでに男のバイクに乗り込んでいる。

ようやく男は立ち上がった。

自分のバイクには晃が堂々と座っている。

「…どうすればいーんでしょう?」

「オレがバイクを走らせる。お前はオレの前を走って案内しろ!」

サラリと鬼のようなことを言う。

とうとう男は泣き出した。

「…本当…勘弁して下さい…」

涙を拭きながら、立ち尽くす男。

「いいから走れ!」

容赦ない晃の声。

仕方なく、男は涙で見えない前を、フラフラしながら走りだした。

「そーれいけー!」

後ろを低速でバイクを走らせる。

…今日はなんて日だろう…こんな悪魔に会うなんて思っても見なかった…

今日という日を忘れることを固く心に誓って、男は走る。
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