野獣の食事
海沿いをひたすら走ること10分。

ようやく、海岸通りを抜け、チラホラと民家や商店が見えはじめてきた。

ひたすら走る男と、バイクに跨がる晃。

極限の中で男は、自分のテンションを上げる為に、妄想をしていた。

オレはマラソンランナー、次のオリンピックに向けての強化合宿中。

ハァ、ハァ、ハァ

こうやって流れ出る汗は、きっと自分自身に返ってくる。

明日の為に走るんだぁー!!

…しかし、そんな妄想も悪魔によって現実に戻される。

「おい!ポチ!」

オレのバイクに跨がったふざけた野郎がなんか言っている。

…ここは無視やなー…

ボコッ!!

晃の容赦ない蹴りが男の背中にはいる。

「ポチ!呼んでるだろ!」

「えー!ポチってオレのことですか!?」

「当たり前だろ!お前以外どこにいるポチが!」

とうとう、男は晃のペットに成り下がった。
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