野獣の食事
「……でも…」

思わず目をそらす。

「なんだい?…いってみなよ…」

ジッと恵美の目を見つめ、優しく声をかける。

「……憧れの人がいるんです…その人に少しでも近づきたくて…」

「なんだい?そいつはオレより魅力的なのかい?」

哀しい目を向ける。

「いえ!そんなことありません!私の心は………あなたのものです…」

ニヤリと悪どい目付きをする晃。

…しかし、こんなことまでしてでも近付きたい人間とは…

「そいつの名前は?」

「…言えません…」

顔をそらし俯く。

「いーから言ってごらん」

優しい、甘えた声でそっと囁く。

「……。」

ブルブルと震えだす恵美。

!!!

足元から崩れ落ちるように倒れこむと、小刻みに身体が震えている。

青白い顔で、先程まで晃とキスをしていた唇は真っ白くなってしまっている。

ふと背中を覗きこむ。

!!!…血がついている……
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