野獣の食事
「…わたしが…」

虚ろな表情のままなにかを呟こうとする。

「バカ!しゃべるな!すぐ救急車を呼ぶからな!」

左手に恵美を抱き抱えたまま、右のポケットから携帯を取り出す。

「…わたしが…悪いのよ…あのかたを裏切ろうとしたから…」

眼には涙を浮かべ、力なく呟く恵美。

携帯を右耳にあてながら、

「ばかやろう!!例え相手がどんなに偉くても、どんなに凄いやつでも、どんなに金持ちでも女の子を傷つけるなんて許される訳がねぇー!!」

公園中に響き渡る程声を荒げながら叫ぶ晃。

その透き通るような瞳で、すでに真っ青になった恵美を見つめる。

「…世界中の女の子を傷つけていいのは、世界に一人だけ。…もちろんオレだけなのさ…」

ようやく携帯がつながり、救急車が到着した。

「怪我人はどこですか!!」

慌てふためく救急隊員の眼に写ったのは…

血だらけになりながら、熱いキスをする二人の姿 。


…おいおーい!!
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