野獣の食事
………

「…あのー…もしもーし!?」

二人の世界に入ってしまい、救急隊員の呼びかけにも無反応。

「もしもーし!お二人さん!怪我人はあなたですかー!」

…ようやく救急隊員に気付き、名残おしそうにする恵美を優しく離す。

「…お迎えがきたようだ…恵美、いーこにして病院に行ってきな…」

担架に乗せられ救急車へと向かう。

「…まー大丈夫でしょー、血はでてるがそんなに深くはないみたいだ」

呆れ眼な救急隊員。

晃ワールドの中の二人。

「きっと治るよ恵美。」

「…うん」

小さく頷く恵美。

救急車の後部から乗せられ、後部ドアを閉めようとするまさにその時。

「…恵美、最後にお前がさっき言いかけたあのかたの名前を教えてくれ」

救急隊員がいーかげんにしてくれと言いたそうに二人を見つめ、

「もー行きますよー」

…と、二人を引き離す。

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