深緑のルルーシュ
老いぼれのダードンを見送った後、ルビーは大きく背伸びした。
赤煉瓦造りの診療所には、小さく控えめで、
『魔法使い専門医』と綴られている。
ヒュルりと突き抜ける突風が、ルビーの髪を揺らし、白衣のポケットに突っ込んでいる腕を出し指を鳴らせば、一瞬にして口にシガレットが現れた。
もう一度、指を鳴らせば着火。
吐き出した煙が舞い上がる。
ここは王国の片隅にある小さな最果て村。
魔法使いと人間が共存する場所。