深緑のルルーシュ
私は、何度か魔族を人間にした経験がある。



それは親族の意思が大半だ。



死んでほしくない。それだけ。



でも医者にも限界はある。



魔族のまま生かすことが出来るのなら、とうの昔からそうしてる。


だから、今出来ることをするのみ。








「今からスカーレットは、人間になる。私を恨んで、尚且つ自分だけ人間にされたことを恨むだろうね。だけど、忘れるなよ。これから先の未来があるって事は、とても素晴らしいことだ。」


死んだらこの世から消えてなくなる。


魔族の死は、散りになる。


儚い最期なのだ。







「スカーレット・ミディアムよ、お前の生命は私が頂こう...」


台の上で少しばかり浮いたスカーレットの身体が反り返り、胸辺りが光り輝く。


突き出した掌に、その光が移っていく光景を目の当たりにしたアダムは、腰を抜かして泣き出した。




魔族の命とも言える魔法を操る細胞を根刮ぎ吸い取った。




事が終われば、スカーレットの髪色は、金から黒へと移り変わる。



もう彼が空を飛ぶことは二度と無い。



自らの足で一歩踏み出さなくてはならないのだ。

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