年下彼氏
ココロとカラダ
カランカランと音がする古風な扉、モダンな内装、落ち着いた色合いのインテリア、ロマンスグレーのマスター。
まさに隠れ家的カフェ、って感じの喫茶店。
亮介に連れられてきた『Cafe wistaria』のいちばん奥の席。
なんだか高校生らしからぬ落ち着いたカフェの雰囲気に少し緊張する。
「ここ、親父が好きでよく来るんだよ。あそこに飾ってる空の写真、親父が撮ったやつ」
亮介が指差す先に夕焼けに染まる空の写真があった。
懐かしい気持ちになる、家に帰りたくなるような、そんな優しい写真。
心の中に溜まった嫌な気持ちが、少し落ち着いた。
「素敵な写真だね」
私の言葉に、亮介はほんの少し困ったように笑っただけで、何も言わなかった。
何を、考えてるの?
そんな寂しい顔で、笑わないでほしい。
もっとたくさん、知りたくなるから。