リライトリライト
 指折り数えて今日は金曜日。

 その間に1度行ってみたけれど、あのインストラクターの人が慣れ慣れ過ぎて、ちょっと…ね。

「俺、土屋っていいます。」

「はぁ。」

「黒谷さんがよければ、個人レッスンも承りますよ?」

「個人…いえ。結構です。」

 あぁ。前の女性スタッフの人が言っていたのはこれだったのかな?
 そう思っているとちょうどその人の怒りの声が。

「土屋インストラクター!!!」

「あ、はい。仕事してます!そう仕事。
 ね。黒谷さん。」

 見るからに焦っていて笑えてしまう。

「私、女性の鍛え方を知りたいので、女性スタッフの方に聞きますね。」

「俺、女性の鍛え方を教えるの大得意です!」

「土屋インストラクター!」

 痺れを切らしたような声に肩を落として小さな返事をした。

「はーい………。」

 肩を落としたまま、別の、さすがに今度は男の人に「この使い方はこの方が効きますよ」と声をかけて離れていった。

「本当にすみません。」

「いいえ。親しみやすい方なのかと思っていたんですけどね。」

 苦笑しながら言うと、女性スタッフの人が悪いわけじゃないのに肩を落としている。

「はい。本当にすみません。
 私、澤部と申します。
 たいてい居るので声をかけてくださいね。」

「さっそくいいですか?
 澤部さんみたいに綺麗なふくらはぎになりたいんですけど。」

「く、黒谷さん!ちょっとあの。」

「え?」

 さっきの土屋さんに接していた勇ましさはどこへやら。
 なんだか澤部さんは照れて顔を赤くしていた。

「黒谷さんみたいな女性にそんなこと言われると照れます!」

「はぁ。」

 澤部さんは未紗タイプなのかな。
 可愛らしくて。
 仲良くなれそうだから嬉しいんだけど。





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