君恋し、いつもそばにいるから
欲しいのは、君のすべて
彼女は泣いていた。
ガードレールにもたれて、静かに泣いていた。
まるで、周りに誰もいないようにみえるくらいに……
「 一人で喋るから無視してていいですよ 」
なんでかほっておけなくて…
話しかけるように勝手に喋りだしたんだ。
「 俺、今受験生で迷ってるんです。すぐ近くにある調理専門学校と、美容学校… どっちもなりたい職業なんだけど俺、片親だから負担にはさせたくないし…… 」
彼女の涙が止まった気がした。
「 迷うと他事まで悩み出しちゃって… 実は最近彼女にフラれたんすよ、俺 」
あ、泣き止んでる。
「 俺のイライラが伝わるのと、決められない優柔不断さに呆れたみたいで… ほんとは別れるキッカケがほしかっただけかも 」
どこまで話したら、彼女は顔をあげるか……
「 俺、もう恋愛とか無理かも… でも、また誰かを好きになるんだと思う 」
また、一からやればいい。
何でも諦めたら終わり。
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