【完】溺愛恋愛マイスターにぞっこん?! 〜仔猫なハニーの恋愛奮闘記〜
飯を食った後、仲良く洗い物を二人で済ませてから、リビングのソファーに落ち着く。
「瑛飛さん…瑛飛さん…」
「んー?なに?」
「これ、これ観たいです!」
そう言って彼女が見付けたのは、俺の収集しているDVDの中の一作。
俺には珍しくヒューマンドラマ…というか、恋愛物に当たるのかな…。
「いいよ。観ようか。用意するから、水美は此処ね」
テレビが一番見易い角度に座らせると、心なしかワクワクしている彼女がそこにはいて…。
「もしかして、映画館行きそびれた?」
プレイヤーにディスクを乗せながら振り返ると、うんうんと深く頷いていた。
「あれ?でもこの作品結構長く上映してなかったっけ?」
「その頃は…まぁ、色々あって…こういうの観に行く気力が無くて…」
そんな会話をしながらも、テレビからはオープニング曲が流てくる。
俺は、彼女の横に座ってから、よいしょと彼女の背後に体を入り込ませた。
「……瑛飛さん…この体勢恥ずかしいんですけど…」
「そう?俺的には、楽だよ」
「楽っ…もぅ…私クッションじゃないのに…」
「水美はクッションより抱き心地がいいよ」
「そんなに太ってません!」
「そういう意味じゃないって。ほら、もう始まる。観たいんだろ?」
こうして、やり取りしていられる事が、ずっと続けばいいのに…。
「みーなみ」
「しーっ、今、良いトコですってば!」
こんな風な、穏やかな時間が…。
だから、そんな願いが届けばいいと、俺は彼女の髪を一房手にして、気付かれないようにキスを落とした。
「好きだよ、水美…」
確かなぬくもり。
愛しい感情。
苦しいくらいの、情熱。