【完】溺愛恋愛マイスターにぞっこん?! 〜仔猫なハニーの恋愛奮闘記〜
「なに?」
「…え?」
「そんなに見つめて…見惚れた?」
そのからかいの言葉に反論しろうとしたけれど。
私は少し考えてから、
「…悔しいけど…」
と返した。
それに対して、意外だという顔をする彼。
少しムキになって私は続ける。
「…素直になっちゃ…いけませんか?」
「いんや?良いね…素直な水美も可愛い」
わしゃわしゃ
まるで猫を撫でるような手付きで髪を撫でられた。
今まで付き合った人とは明らかに違う事。
それは、温もりの温度差。
気持ちの伴わない早急な体の繋がりよりも、気持ちを優先された緩和な抱擁にとても驚いた。
キスだけで、満たされる感情があったなんて、今まで知らなかった。
大事にされてるの?
そう思えば思う程…心が揺れていく。
けして焦らされている訳じゃない、キス。
でも深く、泣ける程優しく、戸惑う程愛しく、落とされる彼からの温もりは…確かな熱情だった。