【完】溺愛恋愛マイスターにぞっこん?! 〜仔猫なハニーの恋愛奮闘記〜
「水美…その格好は俺的に嬉しいけど。我慢できなくなるから、着替えておいで」
そう苦笑い気味に言われてハッとする。
ベッドの中で丸まっていた私。
気付けばウエストの辺りが捲れていて、チラリと肌があらわになっている事に気付く。
「…っ!」
「見てない、見てない」
「も、もぅっ!」
私は顔を赤くしながらも、裾を治すと着替える為にきしっ、と小さな音を立ててベッドを抜け出し、部屋を出た。
どんな時でも余裕綽々な所が、狡いとは思うのに…。
また、どこかでその様子を許してる自分がいる。
もっともっとと、どこかで期待してる自分が、いる。
そんな風に思う彼に対して。
本音をぶつけて、好きなら好きだと言ってしまえればいいのかもしれないのに…。
抱き締められて抱き締め返して、キスで互いの体温までも交している、ここまできても…。
流されてしまいそうな、この感じたことのない感覚に、足が竦んでしまってる。
だって…普通に考えて。
15以上も年が離れていて…。
彼の周りには沢山の彼に釣り合いそうな女性がいて…。
仕事も出来て財力も抜群にあって、その上非の打ち所のない容姿を持っていて…。
こんなにも全てを兼ね備えてる彼が、なんの取り柄もなく、こんな平凡な私を本気で相手にするはずがない。
気紛れに、戯れているだけ……?
そんな思考回路に落ち掛ける。
だから。
騙されてはいけない…。
そう、また危険信号が、ピーピーとビープするんだ。