【完】溺愛恋愛マイスターにぞっこん?! 〜仔猫なハニーの恋愛奮闘記〜
私は、用意してもらったローズ系のグラデーションワンピースに着替えながら、頭の中で必死に考える。
ーねぇ、貴方にとって女という存在は…一体どんな風な意味を持っていますか…?ー
その答えが、たとえ「ただの装飾品だよ」と返されたとしても…。
多分、納得してしまうんだろうな、私は。
それでも、軽蔑なんて出来ないんだろうな…。
「はぁ…」
そこまで考えてから、溜息を付いた。
その後…数分経って、部屋の扉を控えめに叩く音がする。
コンコン
「水美…支度、出来た?」
「…あ、はい。今開けますね…」
柔らかな声に、サッと部屋の姿見で変な所はないかと確認した後、がちゃりと鍵を開けた。
そこにひょいと顔を見せた彼は、私を見て満足気だ。
「ん。そのワンピースも似合ってる」
くしゃり
彼が微笑むと、陽だまりがそこに出来る気がする。
何時もは引き締められている、その表情がこんなにも変わるものなのかと、そう思ってしまう程に。
普段の彼からは想像もつかないような、笑顔。
「ん?」
「…や、なんでもないです」
「なーに?腹減ったとか?」
「ち、ちがっ」
ぐぅー……
漫画かドラマのように、タイミング良く鳴ったお腹の音。
思わずそこを押さえて、彼の顔を見てしまう。
「くくくっ…水美の体は、水美の口より正直だな」
彼は楽しそうに笑うと、また私の髪をわしゃわしゃと撫でて、「メシでも食いに行くか?」と提案して来た。