【完】溺愛恋愛マイスターにぞっこん?! 〜仔猫なハニーの恋愛奮闘記〜
彼の住んでいるタワーマンションは、思わず「ばかなの?この建築士?」と言わずにはいられないくらい、お洒落なデザインで溢れていて、そのスタイリッシュさが、彼の私生活を反映しているみたいで、なんとなく興味深かった。
部屋の玄関から、地下駐車場までエレベーターで下がる間も、ぎゅっと握られた手。
熱くて火傷してしまいそうで、何度も手を引っ込めようと試みるも、それは無駄な努力となる。
それどころか、握られた手にもっと力が込められた。
…痛くない、束縛。
「何食いたい?今日は中華とか……」
「うーん……イタリアンとかは駄目ですか?」
「…もしかして、ピザ?」
「はい!」
「んー…だったら、サンタローサとかズコットとかのデザートが美味い店がいいな」
「え?!瑛飛さんて、甘党でしたっけ?」
「ばぁか。お前が好きだろ?」
「あ…」
こういう、人に敏い所が本当にスマートで、凄いなぁと感心してしまう。
他愛もない会話をしてる間に気づけば車の助手席にエスコートされ、今回はシートベルトまで掛けてくれた。
俺様な癖して、この王子様な対応にいちいち気持ちが反応しちゃうんだよね…。
私は、ぱたん、とドアを締めて運転席側に移る彼の顔を眺めながら、心の中でそう思った。