【完】溺愛恋愛マイスターにぞっこん?! 〜仔猫なハニーの恋愛奮闘記〜
仔猫の危機
なんだかんだ言っても。
彼が、どんどん私のパーソナルスペースに入り込んでくる事を阻止するなんて、そんな術を私は持ち合わせていない訳で…。
「みーなーみ!」
「…やだ」
「みーなーみーちゃん!」
「い、や!」
自分の狭い部屋の中で、こんな風に好きな人とじゃれ合うなんて、過去の私からしたら驚愕以外の何物でもない。
結局、あの日…自分の気持ちに改めて気付かされ、向き合う事にした私に対して、彼はまた余裕綽々な笑みを浮かべて、
「どんなお前でも受け止めてやる」
なんていう殺し文句を、投げて寄越した。
しかも、全力投球で。
私は、それを右へ左へと受け流す事も出来ずに、ただただ頷くだけで精一杯。
それから、週に一度は私の部屋で…とはいえ、週末の2日間は彼の家で過ごしているから、必然的に大体週中頃に私の部屋で過ごすような形になっているのだけれど
…。
「なーんで、そんな難しい顔してんの?」
「別に難しい顔なんかしてないし…」
「じゃあ、……なんで、拗ねてんの?」
「!?」
それは、ほんの1時間くらい前の事。
事の発端は、目の前にある…1冊の、雑誌。
「これ…瑛飛さん?」
「んー?そ。俺。男前に写ってんだろ?」
いつものように、夜遅く…残業を経てやって来た彼。
その彼に、私は机に広げた雑誌のとあるページを指差して確認した。
「……ふぅーーーん……」
私が指差したページには、今回開発部が滅茶苦茶総力を上げて、やっとの思いで生み出した…"まるで付けてないみたいにふんわりと仕上がる"をコンセプトとした、ルースパウダーの紹介がデカデカとしてあって。
その真ん中には、そのパウダーをまとい、くすみの無い肌を大胆に見せ付けている女性と…それを引き立てるように頬を寄せる…男性の図。