【完】溺愛恋愛マイスターにぞっこん?! 〜仔猫なハニーの恋愛奮闘記〜
「水美…好きだよ」
そう、言われるだけでも…胸が痛いくらいにいっぱいになる筈なのに。
どうしても、払拭出来ない…波紋。
色気だだ漏れなこの皇帝様は、会社の広告塔も務めていて……付き合い出すことになって初めて知った、チリっとする心の痛み。
他のヒトに、触れないで…。
仕事だと割り切れれば、こんなに苦労はしないのに。
手元にある雑誌を見てすぐに、勘で気付いてしまったんだ。
ーこのヒトは、彼の過去の相手だー
と…。
艶めかしい瞳に映る、彼の影は酷く濡れていて…それだけでもう、彼女の中に未だ彼への愛情が残っている事は明白だ。
だけど、彼の瞳にはそれを受け付けさせない強さがあった。
だから、まだ救いがあるような気がしたけれど…。
やっぱり、自分の好きな人の過去というのは気になる訳で…それが恋愛に関してならば殊更…。
「ねぇ………瑛飛さん……?」
「ん?なーに?」
「…やっぱり……なんでもない!」
「なんだよ、それー?」
ホールドされていた体を離して、私は狭いキッチンへと逃げ込んだ。