【完】溺愛恋愛マイスターにぞっこん?! 〜仔猫なハニーの恋愛奮闘記〜


ぱたん


冷蔵庫から出したミネラルウォーター。
ぱきん、と蓋を回してキャップを取ると、息をつく間もなく飲み干していく。
まるで、言えない言葉を飲み込むように。


「水美、俺にも」

「瑛飛さんは、ビール?」

「あぁ、そうだな…」


その返事を殆ど待たずに、取り出して渡すと…かしゅっと軽快な音を立てて、彼はそのビールの缶を煽った。


付き合う事となり、もうかれこれ2週間以上経って、二人の間での気持ちの変化は起きているのに。
二人の関係はまだまだ発展途上で…体の結び付きはない。
それでも、確かな感情があると分かっている。


だけど…。
今までがみんな、心よりも体の繋がりを優先させるような付き合いばかりだったから、なんとなく物足りず、それがはしたないようで、軽くフラストレーションになっていた。


抱かれたからって、急に全てが変わるものでもないのに…。


彼は本当に余裕だ。
私に対して欲しいものをくれる癖に、自分の欲求だけを満たすような行為はけしてしない。


キスの合間に見え隠れする、彼の熱情に…焼き尽くされたいと思うのに…。
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