【完】溺愛恋愛マイスターにぞっこん?! 〜仔猫なハニーの恋愛奮闘記〜
「瑛飛さん!ちょっと確認いいですかー?」
「あ、呼ばれた。じゃまた後でな……逃げるなよ?」
「……信じられない……」
スタッフに呼ばれて行ってしまった彼の背中に向けて、私は囁かれた方の耳を押さえて小さく抗議した。
あんな、艶っぽい声で囁かれたら、腰砕けも良いところじゃないの!
じゃなくても…こんな風に愛される事には、慣れていなくて…不安ばかりが渦巻くというのに…。
次から次へと破壊力抜群の爆弾を投下してくるんだから、たまったもんじゃない。
「………はぁぁぁ……」
深呼吸。
一度目を伏せて、スタッフに呼ばれて彼が向かった方を見ていると、コツコツと高そうなヒールの音が聞こえてくる。
…やっぱり、こうなっちゃうよね…。
私は、その音の方を向かずに小さく息を吐いた。
溜息とは、別の…決意の表われ。